社労士事務所に勤めていた時のことです。
社労士も仕事が多いときと少ないときがあります。
専門的なことは、代表で所長の先生が行うことがほとんどなのですが、社会保険や雇用保険の資格取得や資格喪失などの手続きは、補助者である事務員がやることが多いです。
入力することは決まっているので、基本を覚えてしまえばそこまで難しいことではありません。
これ以外に、ルーチンワークで賃金台帳の入力もありました。
毎月、顧問先の企業からその月やその前月の賃金台帳がデータやFAX、若しくは郵送や先生が訪問した時に受け取ったりして事務所に送られてきます。
それを専門ソフトを使い、入力していくのも、事務員の仕事でした。
この賃金台帳を入力する作業なのですが、ひたすら数字を入力していくので退屈です。
しかし、慣れてくると結構楽しいです。
やり方はとても簡単です。
専用ソフトから顧問先の会社のファイルを開き、そこから賃金台帳のファイルを開きます。
その後、エクセルに入力するやり方で、紙(もしくはPDFなどのデータ)から賃金が支払われた人と賃金総額を拾い上げ、同じ名前の人のセルに入力していきます。
このとき、支払われた人、支払われた月、支払われた賃金総額は間違えないように注意します。
また入力するのは「賃金総額」でして「差引支給額」ではありません。
全員分の入力が終わりましたら、集計ボタンを押します。
これで賃金台帳と集計で出た総額が間違っていないことを確認し、ファイルを上書き保存して終了します。
たったこれだけです。
入力が終わりましたら、賃金台帳は紙ならスキャンしてから賃金台帳ファイルに綴じます。
預かっている場合もスキャンしますが、コピーを作成してコピーしたものを賃金台帳ファイルに綴じます。
データで来たものは、スキャンの必要はありませんが、印刷して賃金台帳ファイルに綴じておきます。
そして入力する前でも後でも構いませんが、賃金の内訳と差し引かれた社会保険料のチェックも欠かさずにやります。
社会保険料のチェックも簡単にできます。
紙の賃金台帳ファイルには、従業員別の社会保険料の一覧表が挟んであります。
それを見ながら、社会保険料をチェックしていきます。
なお、雇用保険料につきましては、毎月の給与ごとに異なってくることが多いので、これだけは電卓で間違いがないかどうかを確認します。
雇用保険料は、その月の総支給額に保険料率を掛けて算出するためです。
総支給額に変化がありますと、当然雇用保険料も増減します。
そしてチェックが終わりますと、顧問先によっては電話で控除する社会保険料の額などに間違いがないかどうかを連絡します。
これは入力する前に社会保険料のチェックを行い、間違っていないかどうかを先に連絡することもあります。
連絡しなくてもいい顧問先と、必ずしてほしい顧問先と両方ありましたので、それはケースバイケースに対応していました。
また、賃金の内訳を前月と変化があったかどうかのチェックも行います。
賃金の内訳を確認するのは、意味が無いように見えて実はとても大切なことです。
賃金の内訳は、時々大きく変わったりします。
そしてそれは一定ではありません。
完全に顧問先の判断に任されています。
従業員の中で昇進したり、役職がついたりして基本給や手当てが変わりますと、社会保険料も変わることがあります。
社会保険料は標準報酬月額で決まるためです。
賃金の内訳を調べ、もし大きな変動があったなら注意しないといけません。
3ヶ月続きましたら、月額変更届というものを提出して保険料を改定しなくてはならないのです。
(この月額変更届についての詳細は本筋から脱線するので省きます)
全ての作業が終わりますと、賃金台帳入力チェックリストに
対応している月のマスに斜線を引きます。
これにて賃金台帳入力は完了です!
入力、
合計額のチェック、
スキャン、
社会保険料のチェック、
顧問先への連絡、
月額変更のチェック、
賃金台帳入力チェックリストへの斜線記入、
これらの作業が終わって、やっと賃金台帳の入力は終わりです。
こうして書いてみますと、意外と作業があったなあ、と思います。
月末など賃金台帳が顧問先から次々と送られてきたり、
所長が顧問先を訪問したときに受け取ってくるなどして
賃金台帳が多い時期は、午前中や午後の大半をこれに費やした日もありました。
もう作業することはありませんが、
賃金台帳をソフトに入力するだけの仕事なら、またやりたいなぁ、と思います。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!