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社労士事務所の繁忙期

社会保険労務士の事務所にも、繁忙期があります。

一般的に、社労士事務所の繁忙期は、4月~7月半ばまでと12月です。
なぜ、この時期が繁忙期に当たるのか気になるかと思われます。
今回は、その理由を詳しくお話しします。

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4月~5月

まず4~5月は、多くの会社が年度初めです。
そして新入社員の入社が最も多い時期でもあります。
そうなりますと、社労士事務所には顧問先から新入社員の情報が次々に送られてきます。
新入社員の社会保険加入と、雇用保険加入の手続きをお願いするためです。
これらの手続きのため、社労士事務所は忙しくなります。
また5月には、来月のために顧問先の雇用保険の加入状況を調べなくてはならないため、忙しくなります。

6月

6月は、年度更新です。
年度更新とは、過去1年間に労働者に支払われた賃金の総額を元にして、前年度の労働保険の保険料を精算し、申告して納付し、さらに今年度の概算した労働保険の保険料を納付するための手続きです。
さらに詳しく知りたい方は、こちらを参照してください。
厚生労働省:労働保険の年度更新とは
なんといいましても、年度更新は6月1日~7月10日の間に申告しなければいけないというルールがあります。
それになんとしても間に合わせなければいけないため、6月は顧問先を持つ社労士事務所にとって忙しい時期です。

7月

7月は、年度更新に加えて社会保険の算定基礎届の提出もあります
こちらはなんと、7月1日現在の社会保険の被保険者について、被保険者報酬月額算定基礎届という書類を7月10日までに日本年金機構に提出しなくてはならないのです!
対象となるのは、社会保険に加入している方でその年の4月~6月に支払った賃金になります。
さらに前述した年度更新の届出も同時進行です。
これらの手続きを委託されている場合、7月の中頃までは鬼のように忙しい時期になります。
普段は定時で終わる事務所でも、この時ばかりは残業も当たり前になります。
直接役所の窓口に提出するのは定時までですが、電子申請は24時間受付していますし、書類の作成なら夜中でもできます。

そして7月10日までに全ての書類を提出しますと、やっと繁忙期から解放されます。
当然、顧問先が多ければ多いほど忙しさに拍車がかかります。
この時期は毎日が残業ということも珍しくありません。
私がいた社労士事務所では、7月10日の後に食事会などをやっていました。
事務員に対する労いの意味もあったであろうと思います。

なお、私がいた社労士事務所は年度更新も算定基礎届も、共に電子申請で作成と提出を行っておりました。
当然のことではありますが、実務では電子申請だけでなく紙で作成して提出することもあります。
紙で作成して提出することはありませんでしたが、実際にやっている方もいらっしゃると考えますと、ゾッとします
1社だけならまだしも、それが何社もあったり、1社でも働いている人の数が多いと記入が大変です。
電子申請があって良かったなぁ、とこの時ばかりは思いました。
これから12月頃までは、それほど忙しくありません。

12月

12月は、再び繁忙期です。
年度末ということもありますが、12月には36協定届の提出があります。
36協定届は、時間外労働に関する協定書で、これがないと会社は従業員に時間外労働をさせることができなくなり、従業員も時間外労働の必要があってしなくちゃいけないのに時間外労働ができなくなってしまいます。
そして36協定届の有効期限は、最長でも1年です。
そのため毎年更新の必要があり、しかも開始する月の前月までに所轄労働基準監督署長宛てに提出しなくてはなりません。
しかも36協定届は、必ず2部作成して提出しなくてはなりません。
どちらにも所轄労働基準監督署長の受付印を貰い、1部を労働基準監督署で保管し、もう1部を送り返してもらうためです。
そのため12月になりますと、顧問先の36協定届の提出で忙しくなります。
期限は12月31日までなので、とにかく急いで書類を作り、顧問先の所轄労働基準監督署長宛てに書類を送り、受付印を貰って送り返してもらわなければなりません。
そして送り返してもらったら、それで終了!

とはなりません!!
受付印を押してもらった36協定届を、顧問先に送付する作業が残っています。
こちらの控えとしてコピーを取り、時にはスキャンして保存し、原本を顧問先に郵送します。
控えの36協定届をファイルに綴じたら、今度こそ終了です。

余談

その1 年度更新の悲劇

後にある立食パーティーで、過去に行政協力で労働局の年度更新窓口で受付をしていた社労士の先生と語らう機会がありましたが、とんでもないお話を聞くことができました。
年度更新の受付が始まったある日のこと。
とある建設会社の社長が窓口に来たのですが、
なんとその社長、何も記入されていない提出用紙と賃金台帳だけ持って来て
「わからんから記入してくれ」
と言ったのだそうです。

後ろにはまだたくさんの人が並んでいるというのに!!
とにかく必死になって記入して受理して、とても大変だったと話してくれました。
確かにわかりにくい書類が多いので、手続きがさっぱり分からないということでは、社長の気持ちもよく分かります。
しかし、何も記入してこないのはちょっとマズいのではないかなと思います。
後に事務所の運営が軌道に乗ったこともあり、行政協力は辞めたそうです。
ちなみに行政協力は日当が支払われますが、1日7500円です。
ほとんど最低賃金です。

行政のコストカットって、こういう所から行われているのかもしれないと、闇の部分を垣間見たような気がしました。

その2 年末調整との関係

税金の専門家である税理士の先生は12月~翌年の3月頃までが忙しいのだそうです。
年末調整、源泉徴収票の発行、確定申告などが重なるためです。
そして年末調整では一度、こんなお電話を頂いたことがありました。

10月頃、事務所で仕事をしていました時に、顧問先から電話がありました。
電話の内容は、年末調整をこちらでやっていただけないかということでした。
「え? 年末調整を?」
電話を受けたときは、こう思いました。
私では受けていいのかどうか判断できないことだったので、すぐに所長の先生に繋ぎたかったのですが、あいにく外出していました。
「念のため戻ったら連絡するよう伝えておきますが、恐らく年末調整は税理士の先生か御社の経理担当の方でないとできないと思います」
そう電話で伝え、一度電話を切りました。

私が「税理士の先生か経理担当の方の分野」と伝えたのは、理由があります。
社労士事務所に勤務してから、賃金台帳や社会保険や労務関係の書類を数多く見てきましたが、税金関係の書類はほとんど見たことが無かったのです。
顧問先従業員の源泉徴収票なんて、聞いたこともありませんでした。

そして後日、今度は所長の先生がいる時間帯に電話が来ました。
電話を一度保留にし、所長の先生に要件を伝えてから電話を繋ぎました。
「すいません、こちらでは年末調整はやっていません」
所長の先生は、そう答えていました。
私は「あぁ、やっぱりね」と思いながら他の仕事に戻りました。

後になって知りましたが、かつては社労士でも年末調整が「付随業務」としてできたそうです。
(現在は、税理士連合会と社労士連合会の取り決めで、社労士は年末調整業務はできなくなっています)

社労士事務所も、色々な仕事をしていることが少しでもお分かりいただけましたら幸いです。
ちなみに、これらの仕事はほんの一部です。
実際には、より多くの仕事を抱えていたりします。
顧問先が多ければ多いほど、仕事の量は増えます。
しかし収入が増えることも事実です。
なので多くの社労士事務所は、顧問先の獲得に必死になっています。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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