社労士事務所に勤めていた時、様々な書類を扱いました。
その中に「会社を通して手渡した書類」と「直接手渡した書類」の2つがありました。
社会保険労務士は、顧問契約を結ぶ関係上、会社の社長などと親密になることもありますが、基本的には会社と労働者の中間に立ち、双方の意見を聞きながら双方のために働く存在です。
なので会社に手渡す書類だけでなく、労働者に手渡す書類も扱っていました。
今回は労働者に手渡す書類の中から「会社を通して手渡した書類」と「直接手渡した書類」についてお話しします。
なお、最初に申しあげておきますが、ここでいう「会社を通して手渡す」と「直接手渡す」の意味は以下の通りです。
会社を通して手渡す=会社の社長や担当者に郵送し、労働者に渡してもらうようにする。
直接手渡す=労働者本人に直接郵送する。
・会社を通して手渡した書類
雇用保険被保険者証
会社を通して手渡した書類で、最も多かったのが、これです。
雇用保険は、アルバイトでも一定の条件に当てはまる方は、雇用保険への加入が義務付けられています。
そのため、アルバイトが多い会社では健康保険証を持っている人より、こちらを持っている人の方が多くなることもしばしばありました。
手続きは電子申請で行い、手続きが役所の方で終わりますと、PDF形式のファイルでダウンロードできるようになります。
そちらをダウンロードして、両面印刷をして出力します。
そしてはさみなどで切り取り、決められた場所に保管して、顧問料の請求書など他の書類と同封して郵送で送っていました。
健康保険証
こちらは、雇用保険被保険者証と比べると、送る機会は少なかったです。
健康保険証は、社労士事務所で手続きした場合でも、送付先は会社になります。
なので何らかの事情でこちらに送られてこない限り、会社を通して手渡すことはありませんでした。
その数少ない健康保険証の送付を、何度か手がけたことがあります。
所長の先生からいきなり健康保険証を手渡されて「これ、送っとけ」とだけ言われました。
せめて会社名くらいは伝えてほしかったですが、それくらいで何もできなくなるほどルトくんは無能ではありません。
すぐに健康保険証から会社名を確認し、封筒に宛名シールを貼り付けて送付しました。
労災保険特別加入者証
これは馴染みがない人も多いと思います。
中小企業の社長などで、労働者と同じように仕事をしている方が労災保険に特別加入していることを証明するための書類です。
ほとんどの中小企業の社長は、こちらに加入しているのではないかと思われます。
というか、加入してください!!
大きさはクレジットカードくらいで、ラミネートされた紙製です。
4月か5月頃に、複数の会社に一度に送付しました。
かなり送った枚数は多かったです。
本当にこれで労災保険に加入しているのか疑いたくなるほど、簡素なカードでした。
高年齢者雇用継続給付支給決定通知書(被保険者通知用)
これもなかなか聞き覚えがないと思います。
これは60歳以上の高年齢者を継続して雇用している際に、雇用保険の被保険者であった期間が一定以上あり、その他の条件に当てはまる場合、給付金が支払われます。
それが決定して「これくらいの金額をお支払いしますね」ということを通知する書類です。
これは申請の時期(だいたい2か月に1回)になりますと、過去の賃金台帳を調べて申請できそうなら、電子申請で申請していました。
決定通知書もPDF形式で来ますので、雇用保険被保険者証と同じように切り取り、他の書類と一緒にするか、若しくは単体で送付しておりました。
詳しくはこちらを参照してください。
育児休業給付金支給決定通知書(被保険者通知用)
こちらは、雇用継続給付の1つで、育児休業期間中に賃金が一定額以上支払われていないと支給されます。
こちらも電子申請で申請し、PDF形式のファイルになって書類が降りてきますと、印刷して切り取り、担当者あてに送付していました。
制度について詳しくはこちらを参照してください。
www.hellowork.go.jp76 Shares34 Users103 Pocketsハローワークインターネットサービス - 雇用継続給付https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_continue.html#g2
限度額適用認定証
こちらは医療費がかさんで莫大な金額になってしまったときに使用します。
健康保険には、高額な医療費を支払った場合、後から申請することで自己負担限度額を超えた医療費が後から払い戻される「高額療養費制度」があります。
しかし一時的とはいえ、高額なお金を支払うのはとても痛いです。
そこで、1ヶ月の窓口での支払額を自己負担限度額までにするのがこの限度額適用認定証です。
詳しくは、こちらを参照してください。
・直接手渡しした書類
離職票
会社を退職した時に、労働者から申し出があった場合、会社は退職した労働者に離職票を交付することになっています。
(余談ですが、59歳以上の方が離職された場合は、申し出の有無に関わらず離職票の交付が必要です)
こちらの書類は、電子申請で申請していました。
労働者になるべく早く手渡す必要があるためか、役所も他の書類が下りてくるまで日数が掛かるのに対し、離職票の場合は翌日にはダウンロードできるようになっていました。
離職票を作るのは、大変複雑で難しく、マニュアルを読んでもなかなか理解できなかったため、私は離職票作成手続きだけはやりたくありませんでした。
苦手を通り越して大嫌いでしたが、離職票をダウンロードして印刷し、郵送する手続きは大好きでした。
離職票は同時に送付する書類が多いことや、個人情報がかなり含まれている書類であることから、印刷したら労働者に直接郵送することになっていました。
その場合も、料金後納制度を使わず、重さに応じた切手を貼って郵送していました。
健康保険被保険者資格喪失連絡票
こちらは、健康保険から外れたことの証明となる書類です。
どんな場面で使うのかといいますと、国民健康保険(国保)に加入する時に使われます。
これが無いと、健康保険から国保に切り替える時に大変なことになります。
もしこれが無かった場合、年金事務所に行って資格喪失等確認請求書というものを提出しなければなりません。
国民健康保険等へ切り替えるときの手続き
こうした手続きを踏まないと、国保に加入するのが面倒くさくなります。
誰だって面倒な手続きをするのは嫌ですから、顧問先によっては退職して健康保険から外れる人全員に手渡している所もありました。
思い出せる限りでは、これらが代表的なものになります。
こうして見ますと、やっぱり会社を通して手渡していた書類の方が多いですね。
私としましては、会社を通す書類の方が気楽だったことを覚えています。
会社の担当者の宛先は「宛名シール」として準備されていたので、送るのは簡単だったからです。
送付するのは簡単だったので、これだけならいくつでもできました。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!