骨髄バンクを通して骨髄提供を行うことになりました。
提供者は「ドナー」と呼ばれ、提供のために平日に病院に通い、そして提供するときには入院して手術をすることになります。
そしてその前には「自己血採血」という前処置があります。
骨髄提供のための前段階の処置の中には「自己血採血」というものがあります。
医療関係者でも、骨髄提供の場面に立ち会ったことがある方や専門の医師でもない限り「自己血採血」とはあまり聞きなれないワードではないでしょうか?
私は今回、骨髄提供のために2回ほど「自己血採血」を行いました。
「自己血採血」がどのようなものなのか、今回の記事でご説明できればと思います。
(なお、ドナーと患者の特定防止と臨場感を出すことを兼ねて、ここでは過去の出来事も現在進行形で書いていくことをご了承ください)
自己血採血とは?
自己血採血とは、事前に自らの血液を一定量抜き取ることです。
似たような言葉で「自己血輸血」というものがありますが、自己血輸血は自らの血液を自らの体に輸血することです。
難しい専門用語は私もよく分からないので、簡単に説明すると、以下のようになります。
医療関係者ではないので、間違っている部分もあるかもしれませんが、だいたいこんなものです。
なぜ自己血採血をするのか?
では、なぜ自己血採血をしなくてはいけないのでしょうか?
それは、骨髄提供のための手術にあります。
骨髄提供のためにドナーから抜き取る骨髄液。
骨髄提供と聞きますと、背骨から抜き取ると考える方が多いのですが、実際にはちょっと異なります。
ドナーから抜き取る骨髄液は、背骨からは抜き取りません。というか背骨にあるのは骨髄ではなく「脊椎」なので骨髄移植とは全く関係ありません。
ここを誤解している人は多いです。
骨髄液は、腸骨という、腰の骨から抜き取ります。
学校の理科室にあった骨格標本の模型を思い浮かべてください。
できましたか? では、腰の部分に大きな骨がありませんか?
見つかりましたか? それが腸骨です。
しかしこの抜き取る「骨髄液」なのですが、これは「造血幹細胞(血を作る細胞)」であると同時に「血液そのもの」でもあるのです。
骨髄液は血液中に幹細胞として混ざった状態で存在しています。なので血液そのものであるのです。
ここで疑問になりますのが「血液中に混ざっているのなら、どうして手術で腸骨から取らなくちゃいけないのか?」ということです。
これの答えは「骨髄を循環している血液だから」ということになります。
血液は骨の中で作られることは、中学までの科学や保健体育を学んでいる方ならご存知のはずです。
この骨の中で作られている血液の中に「骨髄液(造血幹細胞)」があります。これが骨髄提供に必要になります。骨髄液(造血幹細胞)は、血液を作るための元となる工場のような存在であるためです。
骨髄液を抜き取るということは、その抜き取った量だけ出血したものと同じになります。
抜き取る量によっても異なりますが、普段20mlとか出血することなんてありませんよね?
そんなに血が流れたら、素人でも大けがしたことくらいは分かりますよね?
その出血した分の血液を補い、回復を早めるために自己血採血が必要になってきます。
つまり、自分自身を守るために必要なことでもあるのです。
詳しいことは、日本骨髄バンクの「ドナー登録について」のQ&Aをご覧ください。
注意するべきこと
自己血採血するために、注意しなくてはならないことがいくつかあります。
これは自らの命に関わることでもありますので、大変重要です!
・採取の前日は飲酒は控える。そしてなるべくゆっくりと休む。
・ストレスをなるべく溜めないようにする。
・鉄分の多い食事を心がけるようにする。
・風邪を引いたり、身体に異常が出た時は、コーディネーターや担当医師に連絡する。
他にも上げるとキリがありませんが、中でも重要なことを挙げてみました。
ちなみに私は、自己血採血が決まってから、なるべく鉄分の多い食事を心がけるようにしました。
鉄分の多い食品といえば、レバーや納豆などの大豆製品、卵やほうれん草などです。
餃子の王将でニラレバ炒めを持ち帰りで購入する。
卵かけごはんに納豆を追加して食べる。
自分でもレバニラ炒めを作って食べる。
鍋に豆腐や油揚げを入れる。
このほかに、鉄剤も処方されましたので、そちらも飲んでいました。
自己血採血第1回目
自己血採血は、手術を受ける病院で行われます。
同じ病院で手術をしますので、同じ病院に自分の血液を置いていないと、必要な時に輸血できません。
コーディネーターさんから「採血後は必ず水分補給をしてくださいね」と言われていたこともあり、500mlのペットボトルを買って持っていきました。
事前に説明を受けた通りに、受付で病院の保険証を提出し、骨髄バンクのドナーであることを伝えますとすぐに「血液内科へ行ってください」との指示がありました。
そして血液内科の前のベンチで荷物を降ろして書類を取り出していますと、何やら視線を感じます……。
その先を見ますと、担当の先生が!!
先日の挨拶をしましたら「それじゃあ早速ですが、始めましょうか」と先生から案内が!
早速血液内科へと入っていきます。
荷物を降ろして上着を脱ぎますと、ベッドに横に寝かされました。
そして血圧測定と体温のチェックが始まります。(37℃ちょいでしたが、平均体温が36℃ちょいなので、まぁ問題なしということになりました)
そしていよいよ、自己血採血の始まりです。
やり方や使う医療器具は、献血で使われるものとほとんど一緒です。
唯一違うといえば、やっている場所くらいかなと思ってしまうほどです。(ただし、お菓子や温かい飲み物は出ません)
しかし針を刺したときに血液が飛び散るかもしれない、という説明を受けた時はちょっとだけ「しまった!」と思いました。
この時、着ていた服が白い長袖シャツだったためです!
せめて、赤いシャツを着てくれば……!
一応血液がかからないように、使い捨てのシートを当ててくれますが、血液がどのように飛ぶのかは針を刺してみないと分かりません。
ドキドキしながら、針が刺されるのを待ちます。
そして針が刺されました。
結果的に、服に飛ぶことはありませんでしたが、ギリギリのところに血液が飛びました。危なかったです。あとちょっとでシャツが1枚、ダメになってしまうところでした。
その後は献血と同じように血液が抜かれていきます。
血液を抜いている間、入院のことや自らの仕事のことなどを看護師さんに話して過ごしました。
今回自己血採血をしてくれた看護師さんが、その後も対応してくれると知りました。
ちなみに抜いた血液の量は、400mlです。これは献血で抜き取る血液量と全く同じです。
1回目が400mlで、2回目のときには200mlの血液を抜き取ります。
合計すると600mlの血液を抜き取ります。これが手術後に身体に戻され、自分の身体を守るために必要なものとなるのです。
採決が終わりますと、抜針(針を抜き取ること)がありまして、その後止血処置になります。
圧迫止血という、上から押さえつける止血方法で止血されます。これは健康診断での採血で行われる処置と全く同じになります。
しばらく押さえつけて止血してから、採血でおなじみの丸型バンソウコウをペタリと貼り付けます。
その後、いくつか書類を手渡され、2回目の採決の曜日と時間を確認してその日は終了となりました。
貧血でフラフラしたりしないかと少し不安でしたが、特に気になるような異常はありませんでした。
一安心して病院を後にしました。
そして帰ってからは、またニラレバ炒めや納豆を食べ続ける日々が続きました。
自己血採血第2回目
自己血採血の第2回目は、1回目から1週間後に行われました。
もちろん、前回と同じ時間に同じ病院にて、行われます。
前回と同じように、500mlのペットボトルを購入してから、受付を済ませて血液内科へと向かいます。
前回と同じくらいの時間でしたが、今回は担当の先生が他の患者さんの診察に当たっていたため、しばらく待つことになりました。
しばらくして名前が呼ばれたので、血液内科の診察室へと入っていきます。
今度は体温を測ったりするようなことはなく、診察室に入るなり
先生「じゃ、早速ですが抜きましょうか!」
といきなりベッドに横になるように言われました。
前回と同じやり方で血を抜きますが、1つだけ違うところがあります。
抜き取る血の量です。
第1回目は400ml抜きましたが、第2回目は200ml抜き取ります。
なので若干早く終わりました。
針を抜き取り、上から押さえつけながら止血をして、丸型のバンソウコウを貼り付けます。
これにて、合計600mlの血液を抜いたことになりました。
こちらの血液は、骨髄提供の手術の際に使用されることになります。
これで手術前の処置は全て完了しました。
あとは入院の日に入院して、手術を待つだけになります。
いよいよ手術が迫ってきました。
余談ながら、この日は職場で2ヶ月くらい連続で欠席している内部会議がありましたが、これにて3ヶ月連続欠席になりました。
正直、何の進展もない意味のない会議が2時間くらい続く地獄なので、欠席できてよかったと思っています。
2回の採血を終えた身として
正直、血を抜いて保存することになるとは思ってもみなかったので、ちょっと驚きました。
てか、献血でもこんな短期間に600mlも抜いたりしないのに、抜いて大丈夫なのー!?
貧血になって倒れたりしないよね!?
ねえ!?
貧血で倒れることはありませんでしたが、そうならない可能性がゼロではありませんでしたので、鉄剤も処方されました。
レバーや豆類、卵といった鉄分を多く含んでいる食品を採るように心掛け、なるべく血を作るようにして来ました。
中高生の頃に時折貧血で立ち眩みがしたりしていたので、今後も手術を終えて退院するまでは、鉄分多めの食事を心がけていきたいと思います。
おまけ
2回目の自己血採血を終えた後、少し時間があったので、病院の中を見て回りました。
必要なものを購入するためのコンビニや自動販売機を見ていた時、食品を売っている自動販売機がありました。
そういうものを見つけた私は、すぐに購入しました。
買ってみた pic.twitter.com/w6muoytWfy
— ルト@12月に入院決定 (@ruto_kun) 2019年11月18日
そしてもちろん、食べてみました。
食べてみた pic.twitter.com/cPRKYflQJD
— ルト@12月に入院決定 (@ruto_kun) 2019年11月18日
内容物はハンバーガー、ポテト数本、チキン1個でした。
ハンバーガーとポテトはともかく、チキンはまるで冷凍食品のから揚げをそのまま入れたような感じがします。
マクドナルドなどのハンバーガーと比べますと、チープな味わいではありましたが、いつでも好きな時に370円で買って食べられるのは大きいです。
入院生活が長引いている人にとっては、これでもありがたいのかもしれません。
なお、食べている間は良かったのですが、最後のひとくちを食べるころにはバンズ(ハンバーガーのパン)がかなり固くなりました!!
まるで少しだけ柔らかくした乾パンに味を付けたようです!!
おーい、固くなるのはもうちょっと待っててくれよー!!
完食するのに問題はありませんでしたが、ゴミ箱が見当たらなかったので、ゴミを家まで持ち帰ることになってしまいました。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!