骨髄バンクのドナーになり、骨髄移植をしました!
しばらくの間、シリーズもののような形でその出来事をつづっていきます!
先日のことですが、骨髄移植に当たりまして、最終同意をしてきました。
今回は、骨髄移植でも大きな分岐点の1つとなります、最終同意についてお話していきたいと思います。
(なお、ドナーと患者の特定防止と臨場感を出すことを兼ねて、ここでは過去の出来事も現在進行形で書いていくことをご了承ください)
最終同意とは?
最終同意は「これを持って、正式にドナーとして骨髄液の提供に同意することが決定します」というものです。
「チャンス」「ドナーのためのハンドブック」などのパンフレットには「最終同意後、患者さんは骨髄移植のための準備に入ります。最終同意後のドナーの辞退は、患者さんにとって危機的状況となるため、いかなる理由があっても最終同意後の辞退はできません」と記されています。
最終同意は、それほど重い決定になるのです。
ドナー候補者が最終同意をしますと、患者さんにはドナーの骨髄液を受け入れるための前処置が行われます。
どのようなものかといいますと、致死量を超える抗がん剤の投与や、強力な放射線照射です。これらの前処置により、造血幹細胞を残らず破壊してしまいます。
血液を作り出す造血幹細胞がダメになっているので、それを治すために健康な人の造血幹細胞が含まれている骨髄液を点滴で入れ替える治療法が、骨髄移植です。
この前処置により、患者さんは「血液を自分で作り出すことができない体」になってしまいます。
つまり「血液を自分で作り出すことができない体」になってから提供を拒否された場合、またイチからドナーを探し出さないといけないことになってしまいます。
非血縁者でドナーが見つかる確率は、実に何十万~何百万分の1という確率です。
またすぐに新しいドナーが見つかる確率なんて、ほぼゼロに等しいものです。
提供を拒否されたら、患者さんは自分で血液を作り出せないため、危機的な状況に陥ってしまいます。
ストレートに表現しますと、
最終同意後に骨髄提供を拒否するということは、
患者さんを間接的に殺してしまうことに等しいのです。
そのため、最終同意後に骨髄提供の同意を撤回することはできなくなっています。
どのようにして行われるのか?
最終同意には、ドナーとなる本人の他にも立ち会う人がいます。
どんな人が立ち会うのかざっくり説明すると、このような形です。
・ドナー側立会人
ドナー本人(いなきゃ困ります
ドナーの家族(結婚しているなら配偶者。結婚していないならドナーの両親か親族などの血縁者)
・骨髄バンク側立会人
担当コーディネーター
第三者(別のコーディネーターか骨髄バンク職員、弁護士など)
調整医師の先生
ドナー側には、ドナー本人以外に家族の人の立ち合いが必要になります。
結婚している場合は妻や夫など配偶者。
結婚していない場合はドナーの親(父母どちらでも可)などの血縁者が立ち会い人として同席しなくてはなりません。
対して骨髄バンク側は、担当コーディネーターはもちろんですが、もう1人第三者に当たる方が立会人にならなくてはなりません。
これは第三者に立ち会うことで公平性を担保することと、骨髄バンクがドナーに対して強要や強制していないかを証明するためです。
まだ決心していないのに、
無理やりドナーになってしまうと大変なことになるよね。
そういったことが無いように、第三者の立ち会いが必要だよ。
当日の様子
当日は雨が降る中、調整医師がいる病院に向かいました。
最初にコーディネーターさんと直接会い、調整医師の元で血液検査を受けた病院です。
私の他に、両親が立会人として同席することになりました。
病院に到着しますと、コーディネーターさんが先に来ていました。
私はコーディネーターさんに両親を紹介し、それから最終同意をするための部屋へと案内されました。
骨髄提供に関して大まかなことはコーディネーターさんが説明し、医学的なことや専門的なことについては、調整医師の先生が説明することになっています。
調整医師は少ししてから来ることとなっていまして、先にコーディネーターさんによる骨髄提供についての流れと最終同意についての説明を受けました。
私はすでに一度受けていましたが、両親は初めて受ける説明がほとんどです。
事前に私の方からも説明はしていたつもりでしたが、やっぱり伝わり切らなかった部分はありました。
コーディネーターさんはもう手慣れたもので、次から次へと流れるように内容を説明していきます。
私もおさらいのつもりで説明を受けました。
ドナーの損害補償制度や実際に起きた死亡事例についても、ちゃんと説明をされていました。
実は骨髄提供手術は、少なからずリスクのある手術です。
医療行為なので100%安全ということはありませんが、健康な体に医療器具を入れる上に全身麻酔による手術なので、最悪死ぬことも十分にあり得ます。
そして最終的に、提供するか否かの判断は、ドナー自身に委ねられます。
骨髄バンク側から強要するようなことはあってはなりませんし、ドナー側の立会人が強固に反対することだってあり得るためです。
過去にはドナー本人がやる気であっても、立会人が強硬に反対したために、コーディネート終了(提供しない)ということになったこともありました。
実を言いますと、私もこれを恐れていました。
両親は私の意思を尊重すると言ってくれたものの、本心がどこまでかは分かりませんでした。
誰しも、心の奥底まで考えていることまでは分からないものです。
しかし、私の考えは杞憂に終わりました。
「提供します!」と私が強い意志を持って同意しましたら、両親はそれ以上私の判断に対して何かを云うことはありませんでした。
「ルトがそう言うなら」と、私の考えを尊重してくれました。
その後、同意書にサインをします。
まず最初にわたしが行い、その後に父がサインをしました。
サインをしたら、印鑑(認印でOKです)を押印して、最終同意が完了します。
2部サインと押印をしましたので、1部を控えとして貰いました。
こうして私は、骨髄移植のためにドナーとなることが決まりました。
最終同意をしましたので、もう泣いても笑っても後に引き返すことはできません。
この後患者さんは、前処置の段階へと進むからです。
そしてこれから、私ことルトくんも、数回病院に行くことが決まります。
なにしろ骨髄移植は、短期間とはいえ入院を伴う手術を行って提供するためです!!
そしてその後、父が調整医師の先生にいくつか質問をしてから、最終同意は終わりました。
実は父、かつて若いころに手塚治虫の「ブラックジャック」を読んで医師を志したことがあったため、ちょっとばかし医療には食い込む傾向があります。
最も、息子である私が入院すると知って、心配になっただけかもしれませんが。
この後、コーディネーターさんと調整医師の先生と別れ、私は病院を後にしました。
これからどうなるの?
最終同意を終えましたので、いよいよこれからドナーとして骨髄提供に向けての準備をしていくことになります。
平日に病院に行くことになりますので、平日に仕事を休んで病院に行く機会が増えます。
もっとも、私の場合は休みが元から不定期であり、土日祝に休むことも平日に休むこともあったのでその点は心配いりません。
入院費用や交通費についても、骨髄バンクが出してくれることになっています。懐が痛む心配がないので、とってもありがたいのです。
(ただし、交通費につきましては移植が終わるまでの間、とりあえず自分で払って後ほどまとめて支払われることになっています)
そしてこれにて、調整医師の先生がいる病院とはお別れになります。
調整医師の先生とは、最初の検診と今回の最終同意の2回会っただけでした。
正直、何のための調整医師だったのかと思いました。これなら、最初から採取を担当する医師の先生がやっていたほうが良かったのではないかと。
調整医師から採取担当医師に伝えるという、必要なのかどうかイマイチ分からない過程も省けるのではないでしょうか!?
そう思いましたが、そうする手順となっていますので、私にはどうすることもできません。
そしてこれから、採取をする病院へと舞台は移っていくこととなります。
はたしてこの先、何が待ち受けているのでしょうか!?(手術です
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!