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台風でビジネスホテルへ行ったとき

急な天候の変化で鉄道などの交通網が麻痺してしまい、
「家に帰りたくても電車が動いてなくて帰れない!!」
という経験をした方は多いのではないでしょうか?

ルトくんも、何度もこうした経験をしたことがあります。

そうなってしまったら、手段は次の内から選ぶことになります。

1 いつも使っている電車やバスが再び動き始めるまで待つ。
2 なんとか動いている電車やバスを乗り継いで帰る。
3 近場で開いているビジネスホテル等に宿泊する。
4 親戚や友達の家に一泊させてもらう。

ルトくんは、このうちをやったことがあります。

今回はその中の3番
「近場で開いているビジネスホテル等に宿泊」したときのことをお話しします。

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2011年の夏の台風が発端

2011年9月頃、台風15号が来ました。

大学での講義が終わった直後、私は急いでバスと地下鉄を乗り継ぎ、JRの乗り換え駅へと急いでいました。
朝の天気予報で、台風が直撃してくることが明らかでしたし、
当時愛用していたガラケーの天気予報アプリを何度もチェックし、
台風の針路が変わっていないことを確認していました。

小学生の頃でしたら、台風が直撃すると分かると
「やった! 明日は学校休みだ!」
などと喜んでいたものですが、大学生になったらそんな考えは無くなりました。
「とにかく何が何でも帰らないといけない!
そうしないと今度提出するレポートが書けない!」
とにかく台風が来たことを喜んでいる場合ではありません。
帰宅ラッシュに巻き込まれないためにも、
提出予定のある書きかけのレポートを完成させるためにも、
家に帰らなくてはなりませんでした。

大学2年の当時は、持ち運べる軽量なノートパソコンを持っていませんでしたので、
小説を書くにも、
課題のレポートを書くにも、
ゲームをするためにも、
家に帰ってパソコンを立ち上げる他にありませんでした。

家に帰れなくなりますと、それらができなくなってしまいます。
私にとってそれはどうしても避けたいことでした。

しかし、現実は非情なものでした。

JRがストップ!

地下鉄で乗り換えの駅まで到着したのは良かったのですが、
乗り換えるJRが台風の影響で停まってしまいました!!
私の家の方角に向かう列車は全面運転見合わせとなり、動く気配すらしません。
駅のホームと改札の外には、運転再開を求める人が押し寄せ、
行き場を失って立ち尽くしていました。

ある人はタクシー乗り場へ向かい、
ある人は地下鉄で他の駅に向かい、
ある人は電話でお迎えを頼んだり、
ある人はしきりに運行情報をチェックしています。

私もその中の一人になっていました。
私はこの時点で「今日は家に帰れない」ことを悟りました。
迎えに来てくれる人もおらず、
親戚の家からも遠い場所で、
JRも動いていない状況では、
私には手も足も出ません。

さて、どうすればいいものか。
そう思っていた私は、ふと財布の中身を確認しました。

財布の中には、いくらかのおカネがありました。
ちょうど、バイトの給料日後だったこともあり、ATMから下ろしたおカネがいくらか入っていたのです。

そのとき、駅の近くに安いビジネスホテルがあることに気づきました。
しかも時刻は夕方の18時前。
「このまま待っていても他の駅に行っても、帰れないことは明らかだし、
もしかしたら同じように考える人が増えるかもしれないな。
今のうちに、今日の寝床を確保した方がいいかもしれない」
そう思った私は、そっと近くのビジネスホテルへと向かいました。
空いている部屋が、まだあることを祈りながら。

ビジネスホテルへチェックイン!

近くのビジネスホテルに入り、そのままフロントへと向かいます。

フロントスタッフ(以下、フロ)「いらっしゃいませ」
ルトくん(以下、ルト)「すいません、一泊したいのですが、部屋は空いていますか?」
フロ「はい、空きはございます。どのお部屋になさいますか?」
ルト「では、シングルルームでお願いします」
フロ「かしこまりました」

私が選んだのは、シングルルームで朝食無しという最も安いプランでした。
専用の用紙に氏名、住所、電話番号などを記入します。
フロントスタッフの方がすぐに手配し、料金(一万円を下回っていました)を支払いますと、カードキーが発行されました。

フロ「おまたせいたしました。こちらが、本日のお部屋のカードキーになります」
ルト「ありがとうございます」

フロントスタッフの方にお礼を告げますと、エレベーターで部屋のある階へと向かいます。
部屋に入りますと、まずは電気をつけて部屋の内部を確認します。
異常が無いことを確かめますと、そのまま荷物を置き、カードキーとケータイ、財布だけを持って一度ホテルを出ます。
近くのコンビニで夕食と夜食を買い、再びホテルへと戻ります。
そして念のため家に「今日は台風で帰れないからビジネスホテルに泊まった」と連絡を入れ、再び部屋へ入りました。

ホテルでの一夜

ルトくんは、夜のホテルの部屋の雰囲気が、かなり好きだったりします。
普段なら絶対に泊まることのない場所であることから、非日常感が強く、それに惹かれるのかもしれません。
買ってきた夕食と夜食を机に置きますと、少しだけカーテンを開けて外を見ます。
外に見えるのは、ビルの明かりと、降りしきる雨だけでした。
他のビルから見られるかもしれないと思い、レースのカーテンを閉めます。

外に出る用事は無くなりましたので、まずはシャワーを浴びてしまいます。
台風によって湿気もかなりまとわりついていましたので、
シャワーを浴びましたらかなりスッキリしました。

それが終わりましたら、テレビを見ながら、夕食を食べます。
NHKだけでなく、台風が来ましたらほぼどのチャンネルでも台風情報を流しながら通常の番組を流すものです。
特に見たい番組はありませんでしたので、ずっとNHKをつけたまま台風情報を流していました。
食事を終えますと、ホテルの部屋に備えつけられていたお茶を飲みます。
机の上に、電気コンロのようなものがあり、そこでお湯を沸かせるようになっていました。
なんとも便利なものが、ビジネスホテルにはあるものです。

夜の10時頃にはテレビを消し、鞄の中に入っていた文庫本と偶然購入していたNEWSWEEKを読みました。
ホテルの部屋で海外の雑誌を読んでいますと、まるで自分ができるビジネスマンになったような気分でした。
こういう雰囲気に浸れるのも、夜のビジネスホテルの醍醐味かもしれません。

10時半ごろになりますと、夜食に買っておいたおつまみを食べながら、再び読書をしました。
そして11時頃に眠くなり、カーテンを閉めてベッドに入ります。
遮光カーテンなので、朝までそのままぐっすりコースでした。(笑

翌朝のチェックアウト

目を覚ましたのは、ちょうど7時前でした。
すぐにカーテンを開けますと、雨と風は弱まっていましたが、まだ台風は去っていないみたいでした。
すぐにテレビをつけて、台風情報を収集します。

そしてケータイのメールを確認しますと、大学から午前中の講義を中止するという連絡が来ていました。
大学の規定で、朝の7時時点で警報が出ていた場合、講義は中止になります。
そして10時時点でも警報が出ていましたら、その日は全ての講義が中止になります。

午前中の講義は中止になりましたが、
私は「もしかしたら午後からの講義はあるかもしれない」と考え、
10時まではどこかで待機していることを決めました。
幸いにも、地下鉄とバスは動いておりましたので、大学までは行けます。
(JRは相変わらず停まっていました)

荷物をまとめた私は、早々とチェックアウトすることにしました。
フロントにお礼を告げてカードキーを返却し、その足でホテルを去ります。
朝食は無かったので、マクドナルドで済ませました。
そして、地下鉄の駅のホームで文庫本を読みながら、大学からの連絡を待ちます。

10時過ぎに、警報が出ていたことを確認しますと、大学からメールで連絡が来ました。
「現時点で警報が解除されていないため、本日の講義は全て中止といたします」
メールを確認した私はケータイをポケットに戻し、大学とは反対方向へ向かう地下鉄に乗りました。
翌朝になって、家の近くまで走っている高速バスが復旧したことを知り、
私はそれに乗り込んで昼頃に家へと帰ることができました。

ビジネスホテルの宿泊は楽しい

久しぶりにビジネスホテルに宿泊しました。
台風で公共交通機関が動かない時は、運行再開を待つよりも、
ビジネスホテル等に宿泊するのが、安全で快適だということを理解しました。

おカネが掛かってしまいますので、懐に優しくないことは確かですが、
こういうときは1年に1~2回、あるかないかですし、
安ければ1万円を切る値段で宿泊できます。
そのおカネで安全と快適を購入できるのですから、安いものではないでしょうか?

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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